診断基準とその使い方
胆嚢摘出後困難症
佐藤 寿雄
1
,
松代 隆
1
1東北大第1外科
pp.692-694
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206571
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はじめに
胆石症などの良性胆道疾患に対しては胆嚢摘出術をはじめとして種々の手術がなされるが,術後に再び胆道系に関係があると思われる症状や愁訴を訴えることがあるこのような症例は胆嚢摘出後症候群あるいは困難症と総称されている.本症は広義に解釈すれば胆道手術後の愁訴例がすべて含まれることになる.したがって,その発生頻度1)もわが国では9〜13%,欧米では4〜25%と報告者によりその頻度に差がみられることは当然であろう.その名称についても胆嚢摘出後あるいは胆道手術後症候群,困難症,後遣症,愁訴例などが用いられている.これは報告者により本症の解釈に異なる点があることを示唆している.このように,本症は定義について若干の問題を残しているので,ここではまず本症に対する筆者らの考え方を述べ,その原因と頻度,診断基準などについてふれてみたいと思う.
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