今月の主題 膵と胆道疾患
治療における諸問題
胆嚢摘出後症候群
相馬 智
1
Satoru SOHMA
1
1杏林大学医学部・第1外科
pp.1392-1394
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216679
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はじめに
胆嚢摘出(あるいはそれを主体とした胆道手術)後に,何らかの症状が残ったり,新たな症状が発生することを,胆嚢摘出後症候群あるいは胆嚢摘出後後遺症とよんできた.
今日では胆道系の諸検査の進歩により,正しい手術適応が得られるようになり,また手術術式や手術材料の著しい進歩により,安全でしかも確実な病的状態の把握や処置が可能となった.しかし胆石症や胆嚢炎を,症状のみから手術適応を考えて,処置を急ぎ思わね後遺症に悩まされることも稀ではない.胆石症や胆嚢炎を胆道全体の一病変と考えて,その病態生理学的な面からのアプローチをしないために,過去,いや現在でも後遺症に悩まされているのである.今日では術前にその病態生理の把握がかなり確かになったので,本症が減りつつあることも事実であるが,決して過去のものではない.本稿ではその原因と治療(予防)につき言及したい.
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