今月の主題 痛みとその対策
鎮痛療法の適応と効果
経皮的電気刺激法
坪川 孝志
1
1日大脳神経外科
pp.649-651
発行日 1976年5月10日
Published Date 1976/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206561
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経皮的電気刺激による除痛術は,gate control説を理論的根拠として,1967年WallとSweetが臨床応用したにはじまる.この除痛法は簡便で,手術操作の必要もなく,知覚障害をはじめ神経脱落症状を伴わず,痺痛のみを除去できて,しかも無効な場合や除痛法を必要としなくなったときにはいつでも除けるという除痛術としては理想に近い方法として注目されている一臨床成績の報告でも,Long, Meyerら,Shealyら,Sweetら,Picazaらなどにより,急性期疼痛に対しては施行例の60〜80%に,慢性疼痛に対しては25〜55%に有効であったとしている.本治療法では,従来の前側索破壊や視床破壊の除痛効果のごとく,all or none的に効果が発現するのでなく,疼痛が抑えられる程度に各段階があるので,治療に先立って,疼痛の評価法を明確にしておくべきであるi筆者らは,表1のごとく,疼痛の特異的な面を6項目選び,各5段階に評価する方法をとっているが,Rayらの単純な疼痛の量的表現を用いてもよい.
本稿では,経皮的電気刺激による除痛法の方法とその効果を紹介し,その結果より,本法が各種の除痛術のなかで,どのように位置づけられているかを考え,本法の適応を明確にしていきたい.
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