今月の主題 内科医に必要な末梢血管病変の知識
主な血管病
静脈瘤
田辺 達三
1
1北大第2外科
pp.328-329
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206456
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プロローグ イギリス史上最大の繁栄を築いたヴィクトリヤ女王は,若い頃から両下肢静脈の怒張があり,妊娠,分娩を重ね,肥満するにつれて,両下肢が腫脹し,歩行も障害された.その後,下肢に潰瘍を生じ,その出血に生涯悩み続けた.
静脈瘤は先天性血管奇形や動静脈瘻,深部静脈閉塞などの場合にもみられるが,通常は下肢表在静脈の弁機能不全によって表在静脈が拡張,屈曲,蛇行する下肢静脈瘤をいう.弁不全状態では,立体の場合,重力により静脈血は逆流し,表在静脈は拡張し,静脈血はうっ血する(図1).本症は,人類が立位生活を始めた頃からあったと推測され,古くHippocratesも治療法を述べているという.今日では,この病態は欧米人の間では極めて普遍しており,程度の相違はあれ,成人女性5人に1人,成人男性15人に1人の割合でみられるという.本邦ではやや少ないが,最近は生活様式,食生活,労働条件などとも関連して増加の傾向にある.一般に女性が男性の2倍程度に多く罹患し,中年から高年層にみられる.
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