講座
動脈瘤と静脈瘤の看護
服部 淳
1
,
関 光
2
1東京女子医大心臓血圧研究所
2東京女子医大病院
pp.32-35
発行日 1960年5月15日
Published Date 1960/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911093
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動脈瘤の看護
動脈瘤は経過の長い疾病であり,検査,手術,或は破裂による大出血のない限り,特殊な看護は必要としない事が多い。然し患者はいづれも長い闘病生活に疲れ,時には手術治療が不可能な事から前途への光明を失い,或は日毎夜毎のたえまない疼痛苦痛に瞬時の憩も得られず,兎角,暗い気持になりがちのものである。従つて本症の看護に当る者は少しでも患者に明るい気持を持たせる様につとめる事が大切である。一般看護の上に留意すべき点は,前に心疾患患者の看護法で述べたと同様である。患者は必ずしも常に臥床の必要はなく,軽い散歩程度が許される者が多いが,看護に当る者の常に心得て置くべき点は,何時動脈瘤が破裂するかも知れないということである。特に動脈硬化や梅毒性の動脈瘤ではこの危険が多い。従つて患者に激動や興奮を与える様な事は絶対に避ける様にし,急に寒気の中に入れることも注意せねばならない。更に皮膚面に突出している動脈瘤はわづかな外力で破裂し大出血を来すことがある。
頸部,胸部,腹部の動脈瘤により気管食道胃腸が圧迫されると呼吸困難,嚥下困難,胃部膨満感が出る。呼吸困難に対しては圧迫の少い体位,頭位を考慮し,高度の呼吸困難には酸素吸入の必要が生れる。嚥下困難,胃部膨満感には軟食,時に流動性の高カロリー食を与え,1回の量を少くし回数を増す様にする。
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