私の失敗例・忘れられない患者
「肺病」という診断にまつわる二人の患者,他
藤森 岳夫
1
1中野総合病院
pp.297-299
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206447
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失敗にもいろいろある.謝って済むものから,その患者の一生にかかわるもの,あるいは人の命に関するものまであり得る.
20年も前のことだが,農村にある大学病院にいたころ,ある日30代の男の患者が外来にきた.咳・痰・時に血疾を主訴として,ヤセ型である.最近また血痰が続くので遠方からきたという.胸部レントゲン像で両肺野に多数の薄壁透亮像が認められ,浸潤像はほとんどない.肺結核よりは気管支拡張症が疑われるので,両側の気管支造影を行った.
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