臨床病理医はこう読む
血液凝固検査(2)
藤巻 道男
1
1東医大臨床病理
pp.1422-1423
発行日 1975年8月10日
Published Date 1975/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206194
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血小板数は正常,血餅収縮は不良
皮下出血歯肉出血および鼻出血などを主徴として来院した患者であり,凝血学的検査では血小板系の検査として血小板数は20万/cu mmと正常値であるが,毛細血管抵抗試験は陽性(⧺),出血時間は15分以上と延長,血餅収縮は10%と減少,トロンボエラストグラム(TEG)のγは16mmと軽度延長し,maは18mmと著明に低下している.またガラスビーズ管法による血小板粘着率(停滞率)は12%と低下,血小板凝集計を用いて血小板凝集能の測定は誘発物質としてADP,エピネフリン,コラーゲン,牛フィブリノゲン,リストセチン,カルシウムおよびトロンビンなどによる血小板凝集はほとんど認められない(図).血小板第3因子能としてトロンボプラスチン生成試験(TGT)では正常値であるが,血小板availability testによる放出反応は減弱している.血漿凝固因子系の検査として部分トロンボプラスチン時間(PTT)は58秒と正常,プロトロンビン時間(PT)は12.2秒と対照の12.0秒に対して正常値であり,線溶系の検査にも異常所見を認めない.
以上の検査成績からして,血小板数は正常値であるのに毛細血管抵抗試験,出血時間,血餅収縮試験などに異常所見を呈することから,血小板の質的な異常が推定され,さらに血小板の機能検査として,血小板粘着能および血小板凝集能の低下がみられることから血小板機能異常症が考えられる.このような異常所見のうち,とくに血餅収縮が減弱していることから血小板無力症thrombastheniaでGlanzmann型に分類されるものと思われる.
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