今月の主題 甲状腺疾患のすべて
臨床的アプローチ
甲状腺疾患の分類
飯野 史郎
1
1昭和大第3内科
pp.1354-1355
発行日 1975年8月10日
Published Date 1975/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206170
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はじめに
甲状腺疾患の分類は,原因の明らかでない疾患も少なくない今日,すべてを原因論的に行うことはできないので,機能的,形態学的,組織学的,臨床的分類を適宜混合して行わざるを得ないのが現状である.たとえば,甲状腺機能低下症といえば機能的分類となるが,放射性ヨードによる甲状腺破壊はその原因であり,中毒性びまん性甲状腺腫といえばグレーブス(Graves)病を示すが,この病名は甲状腺の機能と形態を一緒にした言葉である.また,亜急性甲状腺炎は一般的には臨床的特徴から診断し得るが,その確認は組織学的に行われるし,もし起炎ウイルスが明らかとなれば,原因論的に分類されることとなるのである.甲状腺は内分泌臓器の1つであるので,ホルモン分泌の増減は臨床的に極めて重要な意味を持ち,したがって甲状腺疾患をまず機能的に分類することは,臨床医家にとってははなはだ便利なことである.その上で,病理学的,原因論的な分類がなされることが理解しやすいものと思われる.
本稿においては,はじめに
1969年にWernerによって報告されたAmerican Thyroid Associationの分類1)を挙げ,次いでhyperthyroidismとthyrotoxicosisの定義について論じ,終わりに甲状腺機能異常症の障害部位的分類についてふれたいと考える.
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