治療のポイント
妊娠と甲状腺機能亢進症
飯野 史郎
1
1昭大第三内科
pp.609-610
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202211
- 有料閲覧
- 文献概要
診断
妊娠時には暑がり,神経質,動悸などの自覚症状や,軽度の甲状腺腫,頻脈,皮膚の温湿などの他覚症状を伴い,検査上でも基礎代謝(BMR)は増加(最終月には+20〜30%)し,蛋白結合ヨード(PBI)は比較的高値(7.0〜12.0γ/dl)を示すため,軽症甲状腺機能亢進症とまぎらわしい場合が少なくない。正常妊娠と甲状腺機能亢進症を伴つた妊娠との鑑別には,一般に131I-Triiodothyronine Resin Sponge Uptake(RSU)がもつとも簡便で有用である。すなわち,RSUは妊娠によつて低値を示す(10週には25%以下となり,14週以後はほぼ21%を続ける)が,甲状腺機能亢進症を合併する場合には低値を示さず,機能亢進域にあるかまたは正常域にある。したがつて,RSUが10週以後において25%以上を示すときは切迫流産しこの場合には正常域に戻る)が除外できれば甲状腺機能亢進症が疑われる。実際には両者を合併する場合のRSUは,40%以上と機能亢進域にあることが多く,鑑別はさほど困難ではない。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.