今月の主題 出血傾向の新知識
カラーグラフ
目でみる出血傾向
前川 正
1
1群馬大第3内科
pp.910-911
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206032
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出血傾向の診断にはまず既往歴を詳しく聴取し,あるいは現在の出血症状をみて,出血が局所的なものでなく,止血機構の障害に基づく全身的なものによることを明らかにする,たとえば鼻の疾患で出血するのではなく,全身的な出血症状の一環としての鼻出血であることを聴き出す.
次に出血傾向が疑われる場合,多数の要因より成立する止血機構のどこに障害があるかを明らかにする,そのためには家族歴を詳細に検討し,遺伝的・家族的素因の有無を明らかにすると共に,現症の検索,既往の出血状況および出血を併発しやすい原疾患の発見などが重要である.このためには出血傾向を血小板障害,凝固障害および血管障害に3大別し,主要疾患の出血症状の大要を記憶しておいた方が良い.もちろん,このような症候のみから止血機構の障害部位を確定することは困難で,出血傾向診断のためのスクリーニングテストや精密検査の成績の分析に主として依存せざるを得ない.
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