今月の主題 糖尿病への新たなる対処
知っておきたい合併症
糖尿病の血液凝固異常
松岡 松三
1
,
神保 長三
1
1新潟大第1内科
pp.761-763
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205986
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狭義の凝血障害は出血性素因を意味するものであるが,凝血障害を広く解釈すると,凝固亢進状態,血栓形成傾向も含まれてくる.糖尿病の合併症として出血傾向をみることは皆無にひとしく,文献的な報告もみあたらない.糖尿病にみられる凝固異常の主体は,基礎疾患である糖尿病の進展に伴う脂質代謝異常に基づく血栓形成傾向と動脈硬化の発生である.
近年,糖尿病の死因として糖尿病性昏睡や感染症は減少し,心血管系の病変,すなわち血栓塞栓症と動脈硬化が大きくクローズアップされ,これと関連する虚血性心疾患,心筋硬塞,糖尿病性腎症どなの合併が予後を大きく支配するようになり,その対策が望まれている.
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