今月の主題 心身症からみた症候群
心身症からみた症候群
腰痛と頸腕症候群
川上 登
1,2
1健保鞍馬口病院・整形外科
2京府医大整形外科
pp.304-305
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205819
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はじめに
腰痛と頸腕症候群はともに人類が起立歩行しはじめた時よりわれわれを悩ませ続けて来た疾患の1つであり,一生のうちにこれらの悩みに出会わないで過ごせる人はよほど幸せな人達である.とくに最近のように長寿に恵まれ,人口の老齢化が進めばほとんどの人が必ず腰痛と頸腕症候群のいずれか,またはその両者に悩まされるといってもよいであろう.
この腰痛であれ,頸腕症候群であれ,そのもととなる腰部または頸部の解剖生理学的構築から考えると,疼痛が発生するのが当然であって,むしろ何の症状もなくよくバランスをとって毎日生活している方がよほど奇妙に思えるほど不安定な構築である.人間は大地から立ち上がり,2本の自由な手を獲得し,それに伴う大脳の驚異的な発達と高度の文明を得た代わりに,腰痛と頸腕症候鮮という厄介な重荷を背負ったともいえる.
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