今月の主題 心身症からみた症候群
心身症からみた症候群
過敏性膀胱
斎藤 宗吾
1
1神戸大泌尿器科
pp.302-303
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205818
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
一般に中腔臓器は情動の影響をうけやすく,胃,腸などと同様に膀胱もその代表的臓器の1つである.いわゆる膀胱刺激症状とは頻尿,尿意促迫.排尿痛を主とするが,そのほか種々の程度の排尿時不快感.灼熱感,残尿感,排尿困難など多彩な症状を伴うことが多い.このような症状は膀胱を刺激する器質的原因(炎症,結石など)があればかならず訴えられるが,一方明らかな器質的原因がなくても,精神的因子をはじめそのほか予期せぬ些細な刺激で膀胱は過敏となり刺激症状を発現する.
尿所見,内診,膀胱鏡検査,その他の泌尿器科的検査で明確な器質的変化がみられないのに頑固な頻尿,尿意促迫,排尿時の不快感などを訴える場合,過敏性膀胱,神経性頻尿,膀胱神経症などと診断される.一般に女性に多く,Smithは慢性膀胱炎といわれている婦人の約10%は本症に属するとしてpsychosomatic cystitis syndromeと命名している.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.