今月の主題 心身症からみた症候群
心身症からみた症候群
じんま疹
内海 滉
1
1千葉大教育学部
pp.306-308
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205820
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じんま疹一般
じんま疹は一過性・限局性皮膚浮腫を本態とする.すなわち線状・楕円・円形・環状・地図状・蛇行状など種々の形態をとった局所性発赤を伴う膨疹が卒然として皮表に現れ,掻痒を感じさせ,数分ないし数時間後,あとかたもなく消えさることを常とする.掻痒のためその部を掻くと,さらにじんま疹の発現は増強し,しばしば掻跡に一致して発赤・膨疹も拡大する.病理組織学的には真皮上層の血管透過性亢進による浮腫を主徴とするが,膠原線維および線維束は浮腫により個々に分離し,やがて血管周囲性リンパ球浸潤も現れる.じんま疹の発生部位は不定であり,全身に発生しうるが,とくに衣服その他の摩擦部位・帯バンド圧迫部位または指爪のあたりやすい所に多い傾向があり,皮膚のみならず眼瞼・口唇・咽喉などの粘膜にも生じうる.じんま疹はその経過により急性じんま疹と慢性じんま疹とに大別されるが,また原因により食餌性・薬剤性じんま疹,物理的じんま疹(寒冷・温熱・日光・機械的刺激によるもの),コリン性じんま疹などに分類することもできる.さらに病巣感染によるじんま疹,原因不明の精神神経性の因子が考慮される心因性じんま疹も分類されるが,これには発汗刺激に関与するコリン性じんま疹の一部も混ずるものと思われる1).
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