今月の主題 喘息の本質から治療まで
病態生理からみた喘息
喘息の肺機能
佐々木 孝夫
1
1東北大第1内科
pp.1525-1527
発行日 1974年12月10日
Published Date 1974/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205686
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はじめに
喘息を論ずる場合,定義に諸家の一致したものがないため,細かい点で不一致の点がでてくることが少なくない.すなわち,本症は,高度の発作時には,諸検査を行なわずして誰しも喘息以外の疑いを持たないほど明らかな臨床上の病態を持っているのに,たとえば喘息の特徴とされる「気道狭窄の可逆性」をとりあげても,発作性の呼吸困難がなく,慢性に気道狭窄を示す症例の中で,通常の気管支拡張剤ならびに化学療法で改善されない気道狭窄がステロイド療法によって改善をみる場合,これをいかに取り扱うかといった問題である.
喘息の肺機能を論ずる場合にもこの種の問題がつきまとい,定型的なものはBatesら1)のspasmodic asthmaの表に代表されるごとき一定の傾向がみられるが,実際には症例個々でそれぞれ多少とも異なっている.そこで,今日望まれているのは,個々の症例の臨床像すなわち条件を明らかにし,しかるのち肺機能検査で示される病態生理の持つ意味の検討をかさねていくことである.そのためにはできるだけ総合的に検査を行ない,各指標相互の関連で喘息の肺機能を判断する必要がある.しかしながら限られた誌面では,この種の記述は不適当であり,本稿では今後いかなる検査法で喘息にアプローチするかの参考となることを考え,新しい検査法を中心に機械的変化について述べる.
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