アルコールの臨床・11
アルコールと発癌の関係
石井 裕正
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.1293-1296
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920003
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従来より,各種の嗜好品と癌の発生との関係については関心が持たれていましたが,そのなかでも,たばこと肺癌との因果関係は特によく研究されており,いまや疫学的にも臨床的にも紙巻きたばこの発癌性(特に肺癌)を疑う人はほとんどない,といっても過言ではないと思われます.
ところで,アルコールと癌との関係はどうでしょうか.残念ながら,これまではアルコールと癌との因果関係については臨床医家の関心も薄く,たとえ疫学者・統計学者の間では関心を持たれていたにせよ,紙巻きたばこと肺癌との関係のように強く因果関係を示す証拠も得られなかった点が,アルコールの発癌性の有無に対する関心のなさとして表れていたのでしょう.
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