Japanese
English
特集 ICUにおける呼吸管理の問題点
透析と酸—塩基調節
Dialysis and Acid-Base Balance
小坂 二度見
1
Futami Kosaka
1
1岡山大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology School of Medicine, University of Okayama
pp.857-862
発行日 1972年10月15日
Published Date 1972/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202423
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
腎不全によって乏尿,無尿が持続すると,血中に非蛋白窒素などの代謝老廃物の増加,K+およびNa+など電解質の不均衡,水分貯留による浮腫,代謝性アチドーシスによる酸—塩基平衡の破綻をきたし,ついには高カリウム血症による心室細動,または肺水腫などの心不全により死亡する。この尿毒症から進んで致命的となる腎不全は水分,電解質,酸—塩基平衡を正常に保つに最も効果的で理想に近い透析療法を積極的に行なうことにより,急性腎不全の多くの患者が救命可能であり,慢性腎不全の多くの患者の生命の維持が可能となるわけである。
腎不全による尿毒症の病状および進行の程度は腎不全でも細尿管の病変を主とする急性腎不全と,糸球体の病変を主とする慢性腎不全により,またそれぞれの病変の程度によって異なる。たとえば酸—塩基平衡のpHのみについていっても急性腎不全の場合は急性に進行する著明な高カリウム血症にともなって実際のpHの値の下る代謝性アチドーシスをきたすことが多いのに対して慢性腎不全ですでに週2〜3回の透析を行なっている場合は透析前の患者の血液のpHはほとんど正常値内にある。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.