特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
III 消化管
7.老人の腹痛
老人の腹痛にどう対処するか
沢田 藤一郎
1
1九大
pp.1686-1687
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205061
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老人は抵抗が弱く,回復も遅く,案外もろいことを念頭におく必要があろう.例えば,急性胃腸カタルの場合には下痢と腹痛をきたすが,若い人ならば内容が充分出てしまえばちょっと抗性物質を用いる位で治ってしまうが,老人ではそのほかに心臓のことも顧慮しておく必要があり,念のために強心剤を与えるとか,水分欠乏に対し輸液でもってその平衡を保つ必要もあることがある.
老人のもろいということは動脈硬化が進んでおり,体の代謝が一般に低下しているからで,刺激に対し反応が弱く,細菌の侵襲等に対してもその防御作用である炎症反応が弱いので,浮風充血,白血球の浸潤も少なく,したがって腫脹も少ないので疼痛も軽いということになる,実際には壊死のようなひどい変化が起こっているのに腹痛が軽いというようなことが起こりうる.
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