特集 農村の保健
出稼ぎ問題にどう対処するか
立身 政一
1
1平鹿総合病院
pp.219-221
発行日 1965年4月15日
Published Date 1965/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203030
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秋田県農村の出稼ぎの実態農村の出稼ぎは今に始まったことではない。しかし,近年特にそれが問題化してきたのは,それ自体数が大きくなったと同時にその影響が社会的に大きくとりあげられねばならなくなってきたことによるのであろう。しかも,農村の山稼ぎといえば秋田県が必ず例に出されるほどであるが,調査に現われただけでも,秋田県では昭和35年度15,000人前後であったものが,36年度には21,000人,37年度には29,000人,38年度には3,9000人と急増している点からもうなづけることである。さらに昭和39年度は4月の調査においてすでに45,000人にのぼっているのである。また,それに伴う家族悲劇の発生まで再三報道されるにいたっては問題化されるのも決して無理のないところであろう。
以下,秋田県農業会議の面接ききとり調査による資料を参考にして最近の農村出稼ぎの動向を概観することにする。まず世帯内のどういう立場のものが出稼ぎに出ているかというと,長男の43.6%,世帯主の40.7%がその大部分を占あ,次いで,次三男の7.0%,養子の4.1%ということになっている。それぞれの絶対数の如何にもよることではあるが,秋田県においても,次三男の出稼ぎ時代はすぎて,今や,長男・戸主の出稼ぎ時代であるといっても差しつかえない。
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