今月の主題 慢性関節リウマチ(RA)の新しいプロフィール
病因論
細胞性免疫からみたRA
広瀬 俊一
1
,
茄原 忠夫
1
1東大物療内科
pp.1112-1113
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204880
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最近,自己免疫性疾患または免疫不全症候群といわれるものにおいて免疫状態の異常が血中抗体のみでなく細胞性免疫状態の異常との関係で注目されている.RAについても従来の変性IgGに対する抗体としてのリウマトイド因子の他,このような変性IgGに対する細胞性感作状態の存在が考えられている.RAにおいて病因論としての細胞性免疫がどのような位置を占めるかは不明であるが,変性IgGに対する細胞性感作状態の存在がみられているので,これについてわれわれのデータをもとに述べることにする。
細胞とくにリンパ球上における変性IgGに対するreceptorの存在は変性IgGにI131をラベルしたものが特異的に結合することから知られている.変性IgGに対するリンパ球,とくにT細胞と考えられるものの細胞性感作状態を知るためには,変性IgGを抗原とする特異的抗原刺激による感作リンパ球の幼若化またはそれより遊離されるMigration Inhibitory Factor(MIF)によるマクロファージの遊走阻止試験(MIT)がある.われわれは抗原として還元アルキル化した後6モル尿素中で変性させたヒトIgGのpolymer typeのもの(pU-IgG(MM))を用いた1).このものはリウマトイド因子に対する抗原性は保持するが,変性IgGがもつ細胞などに対する非特異的障害作用,補体結合性など種々の生物活性を消失させたものである.以下このものを変性IgGとして使用してある.
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