症例
胃癌と白血病の重複例
山際 裕史
1
,
大西 哲
1
,
泉 慶一郎
2
,
松本 常雄
2
1三重大・病理
2三重大・内科
pp.2332-2335
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204533
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はじめに
重複癌(腫瘍)の概念は1869年にBillrothが異なった臓器に2つの癌腫が見出されたという報告をして以来のことであり,①各腫瘍は相異なる病理組織像を呈すること,②各腫瘍はそれぞれ異なる母組織より発生していること,③各腫瘍はそれぞれ固有の転移を有すること,とした.その後1932年にWarren & Gateは,①各腫瘍は一定の悪性像を呈していること,②各腫瘍は互いに離れた部位を占拠していること,③一方が他の腫瘍の転移でないことを条件とし,現在まで,この規範にのっとって重複癌の報告がなされてきている.現今,同臓器内に多発しているものまで重複とされることがあるが,厳密には,これらは「多中心発生あるいは多発」であり,重複癌とは原則として異なった組織臓器に由来する場合に限定して考えてゆくという原則が必要のように思える.本稿では,胃癌(早期癌IIc)と,急性骨髄性白血病の重複した55歳の男子例を報告する.
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