特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
III.消化管
6.十二指腸とその周辺
憩室炎
大貫 寿衛
1
1東京都済生会中央病院内科
pp.1045-1047
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204196
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憩室発生の頻度
消化管は,食道から結腸までそのいずれの部分にも憩室発生の可能性があるが,最も高い頻度に発見されるのは結腸ことにS字状部で,次いで十二指腸ことにその第2,第3部分の内側である.小腸では発見の頻度はかなり下がるが,先天性Meckel型のものは遠位回腸に多く,後天性のものは空腸のそれもTreitz靱帯の近くに多いという.もっとも憩室の頻度は報告によってかなりまちまちであり,たとえば十二指腸憩室はX線的には0.8-5%,剖検上は5-22%(いずれも検索全症例に対し)に発見されるといったぐあいで,この頻度は検索の技術と努力に比例して向上するともいわれている.食道,まれには胃にも憩室は見いだされるが,憩室炎を問題にするのであれば,十二指腸以下について考えればよいであろう.
先天性・後天性をあわせてみると,憩室はだいたい40歳以上の年齢の者に多く,性差は十二指腸では明らかでなく,小腸,結腸では男性にやや多いとされる.
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