カラーグラフ
腸の内視鏡診断
平塚 秀雄
1
,
禹 博司
1
,
朴沢 英憲
1
1平塚胃腸病院
pp.634-635
発行日 1972年5月10日
Published Date 1972/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204086
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Kussmaul(1869)が劔呑みの見世物に端を発し初めて食道鏡を工夫したのは余りにも有名だが,やがてMikulicz(1881)の胃鏡に発展し,さらにファイバー光学系の導入と画期的な開発により食道,胃,直腸の内視鏡診断学はすでに完成された検査法といえよう.そしてより深部の生体内部を窺おうという内視鏡学者の欲望は十二指腸,大腸をも征服しつつあるが,さらに最近はより深部の腸管即ち小腸(空腸・回腸)に挑戦し,小腸内視鏡開発委員会(竹本ら)が設けられ,小腸ファイバースコープの開発を目指している.
しかし成人の腸管は解剖学的には6〜7m以上とされ,しかも60cm位の腹腔内に複雑な形・位置によって内蔵され,また腸索は相互に重畳されているため,X線診断も非常に立遅れているのみならず,特に小腸は内視鏡家の前に秘境として閉ざされている感が強い.そこで先ず何はともあれ,すでに試作されたファイバースコープの挿入の可否であって,しかもスコープをいかに確実に,安全に,容易に挿入し得るかという点にしぼられるが,最近われわれの考案した腸紐誘導法(Ropeway法)が深都腸管へのファイバースコープ挿入を可能ならしめ,全腸管の直視下観察,直視下生検に成功したのでその一端を紹介する.
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