治療のポイント
女性のむくみとその扱いかた—特発性浮腫の成因と治療
小沢 幸雄
1
1慶大内科
pp.338-341
発行日 1972年3月10日
Published Date 1972/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204026
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はじめに
原因不明の浮腫を主訴とする女性の診断検査を進めると,その成因が肥満に伴う静脈瘤,肥満に伴わない静脈瘤,貧血,潜在性心不全,甲状腺機能低下,低カリウム血,アレルギー,薬物などによる浮腫,リンパ浮腫,血管神経浮腫と判ることもあるが,成因の全く判らない浮腫に遭遇する場合がしばしばある.その中とくに月経周期と関連し月経前期に浮腫の増強する場合を月経前浮腫,妊娠と関連している場合を妊娠浮腫,閉経期に現われるものを更年期浮腫と呼ぶが,こういった女性特有の生理的現象と必ずしも結びつかず成因不明の場合,特発性浮腫の範疇に入れる.
これらの名前は原因不明の浮腫を少しでも分類区別して考えようとする努力の上に立ったものであるが,同じ性ホルモンの基盤の上に互いに関連して臨床的にも厳密に区別し難く,浮腫も症状も治療も共通した点が多い.成因の判った如く分類されている心腎肝に由来する浮腫でさえ,未だその成因の核心には触れられていない今日,原因不明の特発性浮腫には,浮腫の成因として可能性のある多くの因子が羅列されているといってよい.
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