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天日網膜症
浦田 卓
pp.876
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203681
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日光または天日網膜症solar retinopathyというのは,太陽を凝視するさいに生じる病変で,その本態は,網膜の斑状部macular areaの単純な限局性熱傷にほかならない.ふっうは恒久的な視覚的不具が生じるが,まれには,視力の減少がスネレン試験で1つまたは2つ以上の線にわたることもある.しかしながら,微少な部分的暗点が傍中心性に生じることがあり,そのため本人はときに不便を覚える.
太陽をみるのに世間で常用せられているフィルターは,適当ではない,たとえば写真のネガ,サングラス,なにか道具でつくった日おおいの類をもちいたり,あるいは指と指を接近させてその狭い隙間から太陽をのぞくといったことをしているが,これは目に悪いのである.太陽の現象をみるには,小孔投影法,つまり小さな孔から日光を投影する方法をもちいると,安全であろう.もし太陽をどうしても直接に見なくてはならないといったような場合には,2っのゼラチン・フィルターをもちいるとよい.ただし,そのフィルターの厚さは,太陽の全放射線量の3万分の1以上を通過させないものでなければならない.
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