今月の主題 糖尿病診療の現況
合併症
カラーグラフ
網膜症
林 正雄
1
Masao HAYASHI
1
1北里大学医学部・眼科
pp.40-41
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216992
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糖尿病性網膜症(糖尿病性網膜病変,以下網膜症と略す)は,網膜毛細血管と網膜静脈の変化を主な特徴としているが,このほかに出血(点状出血dot hemorrhage,しみ状出血blot hemorrhage,刷毛状出血,網膜前出血および硝子体出血),白斑(硬性および軟性白斑),血管新生および増殖性変化などが認められる.この網膜症の進行の模様は,若年性糖尿病と成人糖尿病とではかなり異なり,一般に中年以降の糖尿病では多くが緩慢に進行するといわれており,各年代を通しては,悪性のものと比較的良性のものというように,おおむね二大別されるようである.
網膜症を知るためには,臨床的にその経過を追ったScott分類を理解することが最も便利である1,2).わが国でも最近網膜症について眼科のみでなく,内科をはじめ各方面からとくに関心が寄せられてきているが,本症が臨床上重要視されるのは,以下の理由による.
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