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内因性うつ病におけるアミノ酸代謝
浦田 卓
pp.775
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203659
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内因性うつ病の患者18名と,コントロールの正常人9名とから,午前8時と午後8時にそれぞれ,血液を採取して,チロジンとトリプトファンの値をしらべてみた.チロジンの値はうつ病患者のほうが相当低く,トリプトファンの値は朝のほうが低かった.ただし,9名の患者では,夕方の値がコントロールの正常人のそれよりもはるかに高かったが.
24時間尿のキヌレニン値は,すべての患者で低下していた.正常人では,朝の値のほうが夕方の値よりも高かったが,うつ病患者では夕方の値のほうが高かった.これは,チロジン・トランスアミナーゼとトリプトファン・ピロラーゼの病的な活動に由来するのではないかと思われる.以上のような研究成果を踏まえると,チロジンとトリプトファンのそれぞれの前駆物質の病的な値は,うつ病におけるノルアドレナリンとセロトニンの代謝の異常にもとつくのではなかろうか.
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