症例 全身性疾患と眼・3
先天代謝異常症と眼症状(その3)—Wilson病(hepato lenticular degeneration)
松井 瑞夫
1
1日大眼科
pp.1473-1475
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203343
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Wilson病は,常染色体劣性遺伝をしめす,先天代謝異常症の1つであり,銅および蛋白代謝の異常を本態とする疾患である.すなわち,含銅血清蛋白であるceruloplasminが遺伝性に欠如し,このため血清銅濃度が上昇し,諸臓器ことに肝および脳への吸収が増加する.そして,銅の毒性による症候が,本症の症候そのものであるとされるにいたった.
このWilson病のときに,角膜の周辺部に輪状の色素沈着が生ずることをKayserおよびFleischerが明らかにし,以後,本症の特徴的な所見として,本症の診断上重要視されている.そして,粗大な振せんを示す患者には,細隙灯顕微鏡による角膜の精査は欠かすことのできない検査であるとされている.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.