病理夜話
真菌症
金子 仁
1,2
1国立東京第一病院病理
2日医大
pp.1468
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203342
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抗生物質が使用され始めふえた疾患に真菌症がある.
要するにカビなのだが,種類として多いのがカンジダ,アスペルギールス,クリプトコッカスである.抗生物質を多量に使用すると菌交代現象が起こって,人体の中で猛然と勢いを増すようになるのである.—それは34歳のまだ若い新聞記者である.以前から肺結核があり,ストマイ,パス,アイナーの3者併用療法を強力に行なっていた.ところがある日,「黒装束の男が枕もとにズラリと並んでいる」といいだした.ようすがおかしいので精神科へつれて行き,入院ということになった.この男は大酒のみで1晩にウイスキー1ビンを軽くあけてしまう.アルコール中毒の疑いもあったのである.
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