内科専門医のための診断学・8
食道・胃・十二指腸疾患の診断
芦沢 真六
1
1東医大内科
pp.1357-1362
発行日 1970年8月10日
Published Date 1970/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203312
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はじめに
やはり病歴聴取は最もたいせつである.病歴を詳細にとり診察しその中から主症状となるものをえらび,一番頻度の高い疾患を考える.胃・十二指腸潰瘍は病歴だけで十分診断がつくといわれる.食道癌,胃癌は,潰瘍ほど頻度は高くないが,致命的予後を意味するので,確実に否定してから先にすすむべきである.疲労しただけでも,胃が悪いと感じることがあり,また空腹時に嘔気が起こることもある.患者の精神状態も知っておかねばならない.疼痛があったらその部位・種類および時間が問題となる.すなわち起こり方,強さ,放散の有無,食事との関係,便通,その他の随伴症状に注意する.十二指腸潰瘍は20歳代,胃潰瘍は40歳代に多いことは,はっきりしている.食道癌,食道の圧出憩室,十二指腸潰瘍は女性には少ない.
年齢,男女の別,職業などの一般的事項も重要であることがある.体重,体格栄養状態には参考になる点が多い.体重の動向に注意しなくてはならない.診断はこれらのすべてと,諸検査にもとづいて行なわれるのである.
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