臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
IX.運動器系疾患の診断技術
3.筋電図
木下 真男
1
1東邦大第2内科
pp.791-792
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203156
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適応
筋の収縮のさいには活動電位が出現するのは周知のとおりであるが,これを観察することによってしばしば診断の助けが得られる.特に筋の障害が神経原性(脊髄前角細胞の障害か末梢神経障害)のものか筋自体の病変(ミオパチー)かを区別するさいには有用である.この検査には表面電極と針電極の2種類の方法があり,表面電極では患者になんの苦痛もなく検査が行なえるが,個々の活動電位のこまかい観察は不可能である.この点,針電極では正確な観察が行なえるが,針を筋内に挿入するのであるから,ある程度の苦痛を患者にあたえることになる.両者を目的に応じて使い分けることが必要であろう.針電極を用いるならば皮膚のアルコール消毒と電極の十分な消毒が必要である.それ以外に特別の注意はいらないが,電気伝導のさまたげとなるようなものは皮膚から除いておくことは必要である.
普通の四肢筋では1つの脊髄前角細胞が数百から千数百本の筋線維を支配しており、この一組の神経と筋を1つの運動単位(motor unit,neuromuscular unit)と呼び,このunitの状態を調べることが普通筋電図の目的である.また、筋電図とは別に末梢神経の伝導速度その他の電気生理学的検査も現在では日常検査で筋電図とともに行なわれており,それらの診断価値も決して低くない.以下これらの検査の結果について簡単にまとめてみたい.
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