症例 全身性疾患と心臓・3
肝疾患と心臓
塘 二郎
1
,
鷹津 正
2
1阪医大第3内科
2阪医大内科
pp.457-460
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203052
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肝臓が蛋白代謝の中心になっていることは古くから知られていることで,肝疾患,ことに肝硬変,慢性肝炎においては血清蛋白の異常をきたす.1950年Wuhrmann1)は血清蛋白の異常に基因する心筋変性に対してMyokar-doseなる概念を提唱し,特に血清蛋白の異常をきたす多くの疾患の中で肝疾患を冒頭において述べている.しかし,心筋代謝に関する研究は現在酵素レベルでの検討がさかんに行なわれているのが現況であり,これらによっても未だ不明な点が多い.したがってWuhrmannのいうごとく心筋変性が血清蛋白の異常により生じるという事実は誤りではないにしても,これをもって一元的に解釈しえるものではないと考えられる.このような立場から肝疾患と心臓との関連をわれわれの症例も加えて今一度検討したいと思う.
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