病理夜話
腕
金子 仁
1
1国立東京第1病院病理
pp.208
発行日 1970年2月10日
Published Date 1970/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202983
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2年まえのちょうど秋ごろのことである.
京都の若い外科医が右腕に腫瘍ができた.何だろうと思って某病院に行きプローベを採り病理で調べた.これは肉腫である.早く腕を切断するようにといわれた.自分の右腕を切断する?これはたいへんなことである.幼い子供のいるその外科医は,みずから病理検査室へ行き,直接話を聞いた.転移が起こらぬうちに早く切断したほうがよい.さもないと1年以内に死亡するという.しかしその中でも,この程度の肉腫ならだいじょうぶではなかろうかという病理医もいる.思いあぐねてその病理の標本を持って東京の病院へ行き,診察を乞うた.
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