連載 花凪の人々─なりたい自分になる介護・12
腕にはおぼえ,心には思いあり
木村 美和子
1
1NPO法人在宅生活支援サービスホーム花凪
pp.498-499
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100159
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Cさんは名コック
いくら「大丈夫ですよ」と勧めても,日中は車椅子に座って,頑として歩こうとしないCさんが,ある夜,腹ばいになって台所に向かいました。どうするのだろうと眺めていると,シンクの縁に手を伸ばし,両手の力だけで立ち上がったのです。すごい。思わず拍手しながら駆け寄りました。
「Cさん,すごいねえ。やっぱり立てるんだぁ!」
感動する私を尻目に,Cさんは,
「フライパンをくれ」と言います。
「フライパン?」
不思議に思いながらもフライパンを手渡すと,Cさんは片手で持ち,フンフン頷いて,前後に動かしました。どうも何かを炒めているようなしぐさです。
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