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大学病院のあり方
尾前 照雄
1
1九大第2内科
pp.1254-1256
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202870
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現在の大学病院の機能を考えてみると,医学教育(undergraduate education),卒後研修(postgraduate training),研究者の養成,関連病院就職への窓口といった,学生が医師として育ち,社会活動を行なうに至るまでのほとんど全過程がこの中に集約されていることに気づく.このことは,また日本の臨床医学と医学研究が"大学病院のあり方"をぬきにしては,ほとんど考えられぬことをも意味している.現在,インターン廃止運動に端を発した青医連の運動,あるいは全国無給医の運動は"大学病院のあり方"に対して深刻な批判と問題提起を行なっている.このような時期に,編集者から"大学病院のあり方"について,忌憚のない意見を述べるようにとのご依頼であったが,私にはその資格もなく,また具体的な考えを持ち合わせているわけでもない.ただ,教授会と若い医師層ないし学生の中間層の立場にあるものとして2,3の考えを述べ,読者諸賢のご批判,ご叱正を仰ぎたいと思う.
この問題のなかには当然先に述べた大学病院の機能すべてが含まれるわけであるが,その前に大学病院の性格ないし位置づけが当然問題にされねばならないし,ついで教育・研究のあり方ということになるであろう.
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