今月の臨床 思春期外来—診療上の留意点
総論
6.思春期外来のあり方—大学病院
清水 幸子
1
1昭和大学医学部産婦人科学教室
pp.1088-1091
発行日 2000年9月10日
Published Date 2000/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904128
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はじめに
思春期は幼小児期から性成熟期への移行期にあたり,身体発育のみならず将来の妊孕性獲得にとって重要な生殖生理機能の準備発育段階である.近年,生殖生理学の基点である思春期を成熟期,更年期と並んで産婦人科診療の課題の一つとして重視し,小児思春期外来の設置の重要性を指摘する声が高まっている.その背影には性の早熟化傾向,性感染症罹患者の若年層での急増や若年妊娠が大きな社会的問題となってきていること,また核家族化など家庭環境の変化や学校教育,進学の諸問題などのさまざまなストレスが現在の若い女性層のやせ願望と複雑にからみ合った摂食障害に伴った続発性無月経症例の増加など,発育過程での性機能を障害し将来の成熟女性としての生殖生理に重大な影響を引き起こす問題がクローズアップされてきたことによろう.
時代による社会的変化に伴った思春期女子への対応が急務となっている現在こそ,大学病院としての特性を生かした思春期婦人科外来診療のあり方をもう一度考え,確立していく時期と言えよう.
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