連載 公衆衛生のControversy
京都大学の社会健康医学系専攻について
医科大学の大学院のあり方について/京都大学SPHの未来
川口 毅
1
1昭和大学医学部公衆衛生学教室
pp.906-907
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902422
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昔から「医学博士の称号は足の裏にくっついた飯粒」という悪口がいわれている.(資格を)とってもなんともないがとらなければなんとなく気持ちが悪いというのがその理由である.博士号の称号のうち医学分野が最も取りやすいといわれていることも影響しているかもしれない.事実,医科大学の大学院を卒業した者の大部分がそのまま医学博士の称号を得ており.中には将来臨床家として開業するが基礎医学のほうが手っ取り早く取れるという理由だけで基礎医学教室に通って博士号を取る者もある.現行の医科大学の大学院教育のあり方には教育や研究システムなどいろいろ問題があり改善しなければならないことは事実である.また,医師の生涯学習の中でどのような意義を持っているのだろか.この問題については今後,平成16年から実施予定となっている臨床研修の必修化に伴って大学院のあり方も大きく変わってくるであろう.教育,研究体制の問題はともかく現在では少なくとも大学院を修了し博士号を取った人たちには医科大学の教授選考や研究所の専門職など社会的にも研究の上でもそれなりの社会的な対応がされている.
京都大学が衛生学講座を解体しスクールオブパブリックヘルス(以下,SPH)を大学院課程の中に設置したことは医学教育のなかで公衆衛生関係の教育に携わっている人たちにいろいろな意味でショックを与えた.
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