統計
冠動脈性心疾患の死亡
菅沼 達治
1
1厚生省統計調査部
pp.372
発行日 1969年4月10日
Published Date 1969/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202607
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わが国の心疾患死亡の最近10年間の動きは,全体としてやや漸増ぎみにとどまっておりますが,その病類構造には大きな変化がみられます.すなわち,昭和30年には弁膜症が心疾患全体の38.6%,冠動脈性が19.1%を占めていましたが,42年になると前者は14.2%に減ったのに対して,後者は39.9%(死亡数29,793)に達し,両者の位置は全く逆転しました.ここでは冠動脈性心疾患の死亡の現状についてふれたいと思います.
表には本病の内容を,WHOがとり決めた国際疾病分類に従って掲げましたが,正式な死因名は"420.0動脈硬化性心臓疾患と記載されたもの","420.1冠状動脈疾患の記載のある心臓疾患","420.2冠状動脈疾患の記載のない狭心症",これら3者を合計して"420動脈硬化性心臓疾患(冠状動脈疾患を含む)"であります(これは昭和42年までの分類であり,43年からは,より詳細なものが使用されています).ここには実際の頻度から代表的と思われる病名を死因欄に記しました.この表から本病の死亡率が年々増加していることや,アメリカ,イギリスがいかに高率であるかがおわかりになると思います.また,病類別にみますと,日本では狭心症がやや高率ですが,アメリカでは動脈硬化性心疾患が高率であり,死亡診断書上にASHDの略字がしばしば使用されているほどです.
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