Japanese
English
綜説
冠靜脈洞壓上昇の急性效果—冠動脈性心疾患の外科的手術に關連して
Acute Effects of Elevation of Coronary Sinus pressure.
佐野 豊美
1,2
Toyomi SANO
1,2
1ウエスタン・リザーブ大學病院心臟科
2東京大學醫學部
1Cardiac section, Western Reserve University
2Department of Internal Medicine, Tokyo University
pp.81-91
発行日 1953年5月15日
Published Date 1953/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200082
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最近のアメリカに於る心臓外科の發展は誠に目覺ましいものであり,ボタロー管開存・フアロー四徴は勿論のこと,肺動脈狭窄・大動脈絞窄(Coarctation of aorta)・心房中隔缺損・大血管轉位(Transposition of the great vessels)・三尖弁閉鎖・血管輪(vascular ring)に及ぶ先天性心疾患の他,僧帽弁狭窄に對し手術の適應を決定して外科醫に送ることは心臓内科醫の日常最も主要な仕事の一つであり,僧帽弁閉鎖不全・大動脈弁狭窄の手術も試みられている。ヂキタリスや利尿劑の使用法の研究でその日を送つた心臓内科醫の仕事は,この數年來アメリカに於て,その形相を全く異にして了い,胃腸專門内科醫の癌・潰瘍の手術適應症を決定して外科醫に送るを主要の任務の一つとする關係がそのまま心臓病領域に於て現われるに至つたのである。
この情勢下にあつてこれらの諸心疾患より更に實際上重要である冠動脈性心疾患の手術に外科醫の眼が向けられぬ筈はない。たとえ理論的に上述の諸心疾患より遙かに困難な問題が存すると云つても,それの解決には強い要請があり,また努力されている。その第一歩は既に1932年以來Weste—rn Reserve大學のC.S.Beck教授1)2)に依つて始められた。數千匹に及ぶ犬の實驗の後に彼が採用した初期の手術法は2法ある。
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