統計
心・血管疾患による死亡
菅沼 達治
1
1厚生省統計調査部
pp.1245
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201899
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脳卒中,心臓病,高血圧症を個別に観察することももちろん必要でありますが,これらを心・血管疾患として総合してみることもまた意義のあることであります。表には心・血管疾患の死亡率をかかげましたが,イギリスが最高の532.6を示しているほか,各国ともわが国と比べてかなり高率であります。
つぎにこの内訳についてみるわけでありますが,死因統計作成上高血圧症とは,心臓または腎臓に合併症があつた場合であり,脳に異常のある場合は,脳卒中とする規則になつています。心臓病とくに冠状動脈疾患が外国にきわめて多いことは,前号でふれましたが,表にみるとおり脳卒中はわが国が173.4と高率であります。ただし西ドィツも178.2でわが国を上まわつているようにみられますが,これは西ドイツがわが国より老人の多いためであり,かりに人口の年齢構成が同じであると仮定しますと,わが国は西ドイツより男で2倍,女では1.5倍の高率を示すことになります。まして他の国との差は,さらに大きいものであります。死亡割合をみましても,わが国では脳卒中が60%をこえていますが,外国では20〜40%程度となつています。これはわが国の医師の方たちが,急性死のような場合に心死よりも脳死と診断される傾向のあることにもよりますが,剖検例やその他の研究から脳卒中の多いことも事実であるといわれております。
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