提案
小児の入院の適応
嶋田 和正
1
1都立大塚病院小児科
pp.320
発行日 1969年3月10日
Published Date 1969/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202594
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外来で患者を診察したとき,その患児を入院させるべきか否か迷うことがしばしばある.入院は投薬・注射・処置あるいは手術とならんで,治療の重要な手段である.薬剤の投与については適応症,投与量,投与の方法,さらには禁忌など詳しく研究されている.処置手術の適応・方法・禁忌に関しても同様である.ところが入院に関しては若干の例外を除いて,系統的な考察ははなはだ少ない.ある病気の場合,どの程度のとき入院させればよいのか,入院期間はどのくらいにすべきかは,医師の経験ないし勘にたよる部分が大きく,入院の適応について解答を与えてくれる資料に乏しいのである.さらに入院といっても,収容される病院の種類・質は千差万別であるのに,それぞれの病気・患児に対する病院の適応性に関しては,ほとんど無視されている.
例外の場合として,1つは急性・慢性伝染病患者の入院があげられるが,この際には隔離が主目的であり,患者自身の運命あるいは疾病の予後は二義的に考えられているといえよう.もう1つの例外は未熟児である,未熟児は生下時体重などによって,入院の適応が考慮され,さらに入院後の温度・湿度などの環境,養護,栄養の管理までこまかく研究されている.いわば真の意味の例外である.
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