話題
一般臨床家に参考となる"薬物療法における老年者特異性"の講演—第10回日本老年医学会総会から
並木 正義
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1北大第3内科
pp.1118
発行日 1968年9月10日
Published Date 1968/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202378
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今後に残された課題—加齢の機序
老年医学というのは,人間の生理的加齢(年をとること aging)と,加齢に伴う疾患を観察・研究する学問である.単に老年期の人びとを対象とし,年をとった結果のみを観察するのではなく,年をとるという現象自体の解明がだいじであり,老年医学の本来の目的は,むしろここにあるといえるが,この加齢の機序については,吉川教授も特別講演で,2,3の新知見を混ぜながら述べておられたが,結局はなお不明というほかなく,今後に残された大きな課題であろう.
老年者においては疾患の発病のしかた,症状,経過,治療上の問題などにおいて,若年者と違った老年者としての特異性があることについては,多くの医者が経験的に知っている.今回のシンポジウムは,これをおもな分野の疾患において,あらためてひき出し,まとめてみようというのがねらいであった.その結果は期待どおりであり,各疾患の診断,経過の観察,治療および患者の取り扱いにおいて,老年者は老年者としての慎重な注意と配慮が必要であることを再認識させられた,
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