治療のポイント
胃疾患とタバコ
柚木 一雄
1
1鹿大腫瘍研究施設
pp.1078-1079
発行日 1968年9月10日
Published Date 1968/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202363
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食後の一服に満腹感を覚えたり,胃疾患にかかるとタバコがまずくなったり,また,喫煙の中止により食欲増進,体重増加などのしばしばみられることは,日常よく経験されている.タバコが人間の生理機能に影響し,消化器系にも何らかの悪影響を及ぼしていることは想像される.呼吸器系,循環器系に対するタバコの害毒は種々の面から強調され,すでに確定しているかの感がある.胃疾患に対しては,その有害面を積極的に抽出し,禁煙の明確な理由を見出すことはむずかしいように思われる.しかしながら,タバコの胃腸機能に対する薬理作用を解析してゆくならば,胃疾患に対しタバコが有害か無害かということも,おのずから明らかになってくるであろう.
タバコは,酒とともに,人類の2大嗜好品である.すべての嗜好品について言えるように,その少量は生理機能を刺激して好都合な面もあるが,大量は生理機能を阻害し,害毒面が表面に出るようになってくる.少量刺激の場合の諸種の効果と考えられるものの中には,多分に心理的なものが含まれているようである.これを嗜好品自体の効用と誤まられていることも多い.
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