グラフ
甲状腺シンチグラムのよみかた
伊藤 国彦
1
1伊藤病院
pp.169-172
発行日 1968年2月10日
Published Date 1968/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202086
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甲状腺シンチグラムの臨床的応用でもつとも価値があるのは,甲状腺腫瘍の良性,悪性の鑑別診断である。甲状腺に発生した腫瘍が腺腫かがんかの鑑別は,経験をつめば大多数の症例は触診のみで容易である。しかしがんでは早期症例,腺腫で癒着の強い不正な腫瘤では診断を誤まる症例が少なくない。補助診断法としての甲状腺シンチグラムの価値はこのような症例に意義がある。しかし陰影欠損部の性状を中心にする甲状腺シンチグラムにより,触診上の疑問点をただちに是正される場合はむしろ少ない。すなわち触診でも甲状腺シンチグラム診断でも,鑑別の困難な症例は同様な症例である。しかし甲状腺疾患の経験の少ない臨床家にとつては,きわめて有用であるし,また甲状腺シンチグラムの判読も,熟練することにより微妙な診断をくだしえて触診上の疑問点を解決することができる。
甲状腺腫瘍のシンチグラムは西川の分類を用いている。陰性,肥大,陽性の3型に大別し,陰性像を,1)片側全葉欠損,2)境界鮮明欠損,3)浸蝕性欠損,4)菲薄影を伴う欠損,5)欠損を思わせる菲薄影の5型に分け,肥大像を,1)境界鮮明な欠損,2)菲薄影,3)菲薄影を伴う欠損像の3型に分類している。
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