特集 人件費対策
病院勤務医師の待遇にかんする実態調査
赤井 卓三
1
,
森脇 潤
1
1神戸市立中央市民病院
pp.43-50
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202476
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Ⅰ.はじめに
病院勤務医師が現在の待遇について不満をもっていることは,大方の通念であると思われる。しかし医師も一介のサラリーマンであるとみなした場合,他の産業の職種とくらべて待遇がよいとか悪いとか,また医療労働者として,看護婦以下雑役に至るまでの職種と比較して待遇を論じることはむずかしい。同業者である一般の開業医とくらべると,漠然とながら収入は少ないらしいというようなことで,なんとなく不満をもっている。病院の基幹労働者である医師が待遇に不満をもつことは,病院運営上,もっとも障害が大きいと思われる。
一方,医療技術が高度となるに従い,専門医として長く病院にとどまり,技術を磨くことは当然の社会的要請でもあり,一昔前とちがって勤務医一般の勤務年限が長くなってくることは必然でもある。医大卒業後10〜15年の医師の開業率を,1953年と1959年で比較してみると,戦前は4割開業しているが現在は2割である1)。ことにオープン・システムの発達の見込が当分なさそうな日本の医療形態においては,高度な医療技術は主として勤務医の手にゆだねられることになろう。
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