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きのう・きよう・あした
砂原 茂一
1
1国療東京病院
pp.1601
発行日 1967年11月10日
Published Date 1967/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201992
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某月某日
朝9時30分の新幹線で名古屋に行く。胸部外科学会のシンポジウム「肺結核の外科療法の遠隔成績」に特別発言を頼まれているからである。先週の土曜には松本で結核病学会と胸部疾患学会の関東地方会があり,10月中旬以後胸部疾患学会(新潟),厚生省医学会(仙台),がん学会(名古屋)などがある。こう学会つづきでは義理がたいつきあいをしていては診療や研究の暇がなくなるだろう(私自身は10月なかばちよつとアメリカに行くのでこれらの学会には義理のたてようがないのだが)。
汽車のなかで増田四郎。「ヨーロッパとは何か」と野坂昭如「とむらい師たち」を読む。後者は書評を見て買つたものだがグロテスクなだけであまりおもしろくない。前者の著者は一橋大学の学長というといかめしいが私の中学の同級生である。2,3年前文芸春秋の同級生交歓という写真をとるのに引つぱり出されてほとんど40年ぶりで再会したのだが,歴史学者になつているとは知らなかつた。友人の本だというだけでなくなかなかおもしろい。地中海側にはあまり大きな川がなくヨーロッパの大きな川はみな北のほうに流れているという指摘をこの本で受けてなるほどそういえばそうだと合点した。たしかにギリシャやスペインの荒涼たる景観はアフリカ的である。
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