治療のポイント
小児とビタミン過剰投与
小林 収
1
1新大小児科
pp.1432-1433
発行日 1967年10月10日
Published Date 1967/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201948
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発見しにくい予防的摂取による過剰
近時ビタミン剤は非常に高濃度に精選された製剤になつているためビタミン過剰投与,それによる障害すなわち過剰症発生の危険が多くなつている。多くのビタミンが製剤として出されているがこれらの過剰投与による障害は脂溶性ビタミンによるものが報告されていて,水溶性ビタミン例は明らかでないが注意しておかねばならない。脂溶性ビタミンは分解排泄がおそく,多くは肝内に蓄積され体内に高濃度になり,一つの中毒症すなわち過剰症を起こすことになる。小児ではビタミンA,D,Kの過剰投与がみられる。治療によつて発現することは比較的まれで,医師,保健所などのすすめによる予防的摂取による過剰が多いのである。治療による過剰投与は発見しやすいが,予防的内服のときには詳細に聞かなければ養育者はこれをなかなか思い出せないことがあり,われわれもにがい経験をもつている。
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