EDITORIAL
肺以外の疾患のときの肺レ線所見
本間 日臣
1
1虎の門病院呼吸器科
pp.384
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201706
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全身性疾患の部分現象として肺にみられる変化,あるいは他臓器疾患の合併症として肺に生ずる変化については,まだ十分明らかでない点も多く一般の関心もうすく,したがつてそのレ線陰影についての解釈が誤られたり,見逃がされたりしていることが少なくないようである。
たとえば,細網肉腫やエリテマトーデスに随伴する胸水が結核性胸膜炎とされたり,リウマチ性肺臓炎が細菌性肺炎と扱われたり,サルコイドージスが結核の治療を受けたりということである。これらの場合,われわれは肺という窓をとおして全身性病変の一部をかいま見ることになる。その変化は一過性のものも恒常性のものもあり,陰影の種類も,線状,索状,絮状,浸潤性,腫瘤様,液体と多種多様で,特異的に特定疾患と結びつくものは少なく,鑑別がむずかしいものが多い。しかし窓をとおしてよぎり去る一瞬の陰影から系統性疾患の存在やそのひろがりをみいだす機会をつかみうることもまた事実である。この機会を見逃がさずにとらえるためには,当然肺以外の一般内科疾患の知識が要求されるのは当然である。専門家として高く立つためには必然的にひろい裾野を必要とするわけである。過去の経験から気づいた点を以下にあげてみよう。
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