特集 尿糖
尿糖の症例
1.腎性糖尿
池田 義雄
1
,
斉藤 浩
1
,
安沢 竜徳
1
,
種瀬 富男
1
1慈恵医大・阿部内科
pp.193-194
発行日 1967年2月10日
Published Date 1967/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201655
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50gブドウ糖経口負荷試験(以下50g GTT)時に,0.1%以上のブドウ糖尿を検出する例は血糖値の推移から2群に分けられる。すなわち,正常の腎糖排泄閾値をこす高血糖で尿糖陽性になるグループと,血糖値はまつたく正常範囲内にあるにもかかわらず,尿糖が陽性になるグループである。前者は,糖尿病者,あるいは急峻高血糖(oxyhyperglycemia)を伴う例であり,後者は,いわゆる広義の腎性糖尿者である。
日常私たちが遭遇する尿糖陽性者のなかには,いわゆる腎性糖尿者がかなりの頻度に存在している。以上のように腎性糖尿を広い立場からとればまつたく無害性のものとして放置するわけにはいかない。というのは、各種の新しい,糖尿病状態を特徴づける検索方法の進歩と,上述のごとき腎性糖尿者の長期観察結果から,これらの例のなかには,糖尿病的な性格の強い症例が存在する可能性,あるいは糖尿病へ移行する例がみいだされるからである1)。
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