1966年ノーベル医学生理学賞
ホルモン療法発展のいとぐちを開く—チャールス・ハギンスの業績
志田 圭三
1
1群大・泌尿器科
pp.79-80
発行日 1967年1月10日
Published Date 1967/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201634
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C. B. Huggins教授は前立腺がんの抗男性ホルモン療法の開拓者である。1941年前立腺がん症例に対し合成発情ホルモン投与あるいは除睾術を行なうことにより劇的な治療効果をあげうると報告されて以来,全世界において追試がなされ,その卓効性が確認されて現在の抗男性ホルモン療法への発展の道がひらかれてきたものである。本療法は悪性腫瘍が病巣剔除という外科的手術療法あるいは放射線療法以外の薬物療法により抑制しうる可能性を示した最初のものである。前立腺がんにとどまらず,乳がんのホルモン療法への発展のいちぐちを与え,また,悪性腫瘍の化学療法への発展を勇気づけた画期的な業績であつて,今回のノーベル医学賞授賞は当然のことであり,むしろ遅きに失した観がある。
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